出だしで躓く

出だし以外は躓かない

腕の異変

  肘の内側に蕁麻疹のようなものが出来ていた。まぶしいほどに赤く、その範囲は広く、不自然さと異常さを強く主張していた。

  虫刺されか?いや、ずっと図書館に居たし虫など見かけていない。紙袋の紐が擦れたか?それにしては凹部分がなく全てが凸だ。ストレスか?症状が出るほどは無いはずだ。考えた挙句、最後の案を採用し卒論を切り上げて帰ることにした。十分に睡眠をとっているはずなのに眠く、休んだはずなのに少し歩くのもきついと感じていたからだ。しかし、休めば治るとも思えないあのビジュアルを思い出し、帰り道に保健室へ寄って行こうかと考えた。日光の下で再び腕を見てみると、先ほどより赤みが薄まり、凹凸が多少滑らかになっているような気がした。少し希望が見えたのと、保健室へ行ったところで原因を特定できる可能性は薄いと考え直し、そのまま帰路についた。

  そして今、電車の中でこれを書いている。カーディガンの袖をめくり、あくまでも自然に確認してみると、いつも通りの白い腕が光を反射していた。こんなに即効性のあるストレス反応は初めてだ、と驚きながらも、治ったことに安心している。もし帰る途中に友人にばったり会っていたら、必ず腕を見せて「これ分かる?こんな風になったことある?」と聞いていただろう、と思うくらいには心配していた。この話を切り出すためのセリフまで考えていた。

  ともかく、何もないのが一番だ。そんなつもりはなくとも、ストレスは自然と溜まってしまうらしい。次こそは卒論ゼミの資料をギリギリになって作り始めるようなことはしないと誓った。